函体(カンタイ)打込式ドレーン工法
特許出願 特願2001-292103 特開2003-096760 NETIS登録:CB020003
 
 
開発経緯
土木工事において水(特に地下水)との関わりは非常に深く、昔から工事中の出水・斜面崩壊等に悩まされ続けてきた。
特に、地すべり地や堤防に代表される法面形成地及びその法尻部等は地下水位の上昇による崩壊危険性の高い位置であり、 地下水位低下及び排除を必要としていることが多いと言える。
上記対策工として、通常、水抜きボーリング工やオープンカットによるドレーン工などが採用されているが、 近年では法尻部まで宅地開発が進み、

環境(騒音、振動、掘削残土処理)、用地(施工スペース)、経済性、安全性、施工性

の面において、従来工法では対処が困難となるケースが増加して来た。
このため、従来工法によらず、地盤内の排水を確実に行え、 しかも工期短縮・コスト縮減を図る工法の開発が必要となった。
 
 
工法概要
本工法“函体(カンタイ)打込式ドレーン工法”は、比較的単純な構造でありながら地盤内の排水を確実に行える工法であり、 以下の特徴がある。
1. 地盤内に函体を圧入した後、函体内部に透水性材料を投入し、 先端部材のみを残して函体を引き抜き回収する工程を繰り返すことで、 連続した土中鉛直ドレーンを形成する工法であり、 地山掘削土砂が殆ど発生しない。 また、函体は繰り返し再利用が可能である。
2. トレンチカット等の掘削工程を伴わないため、周辺地山を緩めてしまうことがない
3. トレンチ内での人力作業を伴わないため、矢板等の支保工設置が不要である。
4. ドレーン幅も極力小さくすることが可能であり、砕石等の材料費が節約できる。
5. 地山掘削、大規模仮設工を必要としないため施工時の工期短縮が可能である。
 
なお、函体側面には位置決め枠(ズレ止めのゲージ:矢板の継手に相当)が取り付けられているため、 先行して打設された函体を引き抜く前に、位置決め枠に沿って次の函体を打設することで、 ドレーンの連続性が確保できる。
 
本工法の用途(目的)は、以下のとおりである。

  ・河川堤防の堤内法先部の補強
・ため池堤体下流側法先部の補強
・地すべり防止対策
・その他、地下水位低下対策

適用地盤:上限N値30程度
打込深度:上限は10m程度で2〜6m付近を主体とする。
 
打込用函体全景 先端取付部材
 
 
コスト縮減効果(従来工法との比較)
従来のドレーン(トレンチ掘削)工法として、開削工法,矢板工法が挙げられ、 これに函体打込式ドレーン工法を加えて比較検討を行った。

地下水位が高い状況では、通常の開削工法は困難であるばかりか、掘削斜面の崩壊を引き起こす危険性も高い。
従来工法では、トレンチ内の人力作業(ドレーン材の埋戻し・転圧)を伴うため、 施工中の安全確保を目的とした補強工法(矢板工等)を併用する必要がある。

経済性に着目した場合、本工法は、矢板工法に対して40〜50%の工事費縮減が可能である。
また、トレンチ内の砕石転圧等の人力作業も不要のため、施工期間の短縮が可能である。
 
表−1 ドレーン工法比較
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採用事例紹介
(1)A地区切土斜面対策工
地下水位が高く、切土工施工中に斜面からの湧水により崩壊が発生して工事が中断していた。
このため切土計画線より山側の位置で本工法を採用した。(打込深度4m程度)
函体打込み状況 断面図
 
山側からの地下水供給を横ドレーンで集水し縦ドレーンで前面へ排水したことにより、 工事再開以降は湧水も抑制されドライな状況で施工が可能となった。
 
(2)B地区地すべりブロック地下水排除工
棚田跡地を耕作放棄した山林地帯が、傾斜角約20度の薄層崩積土地すべりブロックとなっていた。
山側からの伏流水により、地下水位は高く地表面付近にあり、クリープ的な滑動が確認されていた。
大規模な地形改変工が困難なため、 沢部に沿った幹線ドレーンと横方向の支線ドレーンでブロック全体の間隙水圧低下を図った。br> 掘削と同時にトレンチ側壁が崩壊し湧水が溜まってしまうことから、 本工法による浅層地下水排除工を採用した。(打込深度2m)
横ドレーンを対象に本工法を施工し、沢部に沿った最寄の幹線ドレーンに接続して排水することで、 地下水位低下を図った。
結果、ドレーン設置後1〜2週間経過時点で地下水位低下による表層部の乾燥が確認され、 トラフィカビリティの向上によって重機走行も可能となった。
施工前状況 施工後状況
 
 
施工例
函体(カンタイ)打込式ドレーン工法
施工現場:土岐市 道の駅【志野・織部】
平成15年9月施工
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