函体(カンタイ)打込式ドレーン工法
開発経緯
土木工事において水(特に地下水)との関わりは非常に深く、昔から工事中の出水・斜面崩壊等に悩まされ続けてきた。
特に、地すべり地や堤防に代表される法面形成地及びその法尻部等は地下水位の上昇による崩壊危険性の高い位置であり、地下水位低下及び排除を必要としていることが多いと言える。
上記対策工として、通常、水抜きボーリング工やオープンカットによるドレーン工などが採用されているが、 近年では法尻部まで宅地開発が進み、環境(騒音、振動、掘削残土処理)、用地(施工スペース)、経済性、安全性、施工性の面において、従来工法では対処が困難となるケースが増加してきた。
このため、従来工法によらず、地盤内の排水を確実に行え、しかも工期短縮・コスト縮減を図る工法の開発が必要となった。
工法概要
本工法“函体(カンタイ)打込式ドレーン工法”は、比較的単純な構造でありながら地盤内の排水を確実に行える工法であり、 以下の特徴がある。
- 地盤内に函体を圧入した後、函体内部に透水性材料を投入し、 先端部材のみを残して函体を引き抜き回収する工程を繰り返すことで、 連続した土中鉛直ドレーンを形成する工法であり、 地山掘削土砂が殆ど発生しない。 また、函体は繰り返し再利用が可能である。
- トレンチカット等の掘削工程を伴わないため、周辺地山を緩めてしまうことがない。
- トレンチ内での人力作業を伴わないため、矢板等の支保工設置が不要である。
- ドレーン幅も極力小さくすることが可能であり、砕石等の材料費が節約できる。
- 地山掘削、大規模仮設工を必要としないため施工時の工期短縮が可能である。
施工事例
高速道路盛土部地滑りブロック背面の地下対策
道央自動車道の道路盛土地すべに関与している地山内地下水の浅層地下水排除工(地山内の地下水位低下)を目的として行ったものである。
施工可能場所は高速道路の側道部分しかなく、大規模な開削工事が困難であり、本工法により縦ドレーン壁を地盤内に構築して、ドレーン下端部から低地へ導水する地下水低下対策構造物を作った。
函体ドレーン壁は地盤内の砂礫排水土層を盛土の上流側で遮断し、ドレーン施工中から端部排水管より地山地下水の排水が確認された。
施工実績
下記のような場所での施工実績があります。
- 岐阜県土岐市
- 沖縄県中城村
- 山口県下関市
- 北海道滝川市
など